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シンと静まったこの土地に、別れを告げるときが来た。 静まったといえども、今だけが静かなわけでもなく、ココは元から静まり返っている場所なのかもしれない。 この時間帯になると、大勢の蝙蝠が騒ぎ始める。 元から暗い世界が、漆黒の闇に包まれる。 そして…ぼうッ…と街灯のような光が明滅を始めるのだ。 それを目で確認すると。 トクン…トクン…… 緊張するあまり、胸の鼓動が高鳴っていった。 「決めたんだ。行くって…」 ずっと、心に決めてきたんだ。 こんな、精神も自分自身も不自由な場所に閉じ込められるのならば、どんなに辛くても、ココではないどこかへ身を潜めようと。 バサ…と背中からゆっくりと蝙蝠のような翼を広げ、空に怪しく浮かぶ黒い大穴に飛び込んでいった。 |